東京高等裁判所 昭和27年(う)2992号 判決
記録を査閲するに原審弁護人の昭和二十六年十一月一日附書面による証拠調請求に対し原審裁判官が、即日、所論証人増田要次郎を同年十一月九日の原審第四回公判期日にその他の申請証人と共に尋問する旨決定したこと、右証人増田要次郎が右指定公判期日に出頭しなかつたため原審裁判官は同年十二月十四日の第五回公判期日に再呼出の上同期日における審理の劈頭に尋問すべき旨決定したこと、ところが同証人は右第五回公判期日にも出頭しなかつたことは何れも所論の通りである。而して原審は右証人の不出頭に対する処置についてその後何等の決定も与えず、第六回公判期日より最終公判期日に至るまで遂に同証人に対する尋問決定を施行した形跡が認められないのである。
然らば原審は証拠調の決定をしながらこれを取り消すこともなく、漫然その取調をしなかつたものであり、この訴訟手続上の違法が判決に影響を及ぼすことは記録に徴し明白であるから論旨は理由があり、原判決はこの点において到底破棄を免れない。